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健全性の指標

投資を行う際には、収益の効率を考えるだけでなく、どういうリスクがあり、リスクが起こった際にどう対処するのか、リスク自体をどう防ぐかなどを考えることも必要です。

そこで必要になるのが、健全性を計る指標です。

経営をするという観点から健全性を考えることもありますが、金融機関が融資をするにあたって健全性を考える必要があります。

ここでは、健全性を計る指標をみていきます。

損益分岐点(BE:Break-Even Point)

キャッシュフローと聞くとお金が入ってくるイメージだと思いますが、入るのではなく出て行くマイナスのキャッシュフローもあります。

プラスのキャッシュフローの場合入ってくるお金の方が出て行くお金よりも多く、マイナスのキャッシュフローの場合入ってくるお金よりも出て行くお金の方が多い状態です。

ということは、入ってくるお金と出て行くお金のどこかに均衡点があります。

それが損益分岐点(BE:Break-Even Point)です。

全部空室になってしまい家賃収入が0円でも、固定資産税や光熱費、借入金の返済など、必ずでていくお金があります。

この必ずでていくお金の合計が入るお金に対してどのくらい比率を占めているかという指標です。

ここでは税引前のキャッシュフローまでで考え、税引前キャッシュフローまでの実際にお金が出て行く項目を確認してみます。

総潜在収入(GPI)の箱の中にある実際にお金が出て行く項目は、運営費(Opex)と大規模修繕(Capex)、年間負債支払額(ADS)です。

空室損失は実際にお金が出て行くものではなく、貸していたらいくら入ったという機会損失です。

大規模修繕(Capex)は、常時かかるものではないので、運営費(Opex)と年間負債支払額(ADS)が総潜在収入(GPI)の中にどれだけ占めているかというのが損益分岐点(BE)です。

式は、下記になります。

 

損益分岐点(BE)=(運営費(Opex)+年間負債支払額(ADS))÷総潜在収入(GPI)

 

損益分岐点(BE)は、運営費(Opex)と年間負債支払額(ADS)がどれだけ総潜在収入(GPI)の中に占めているかという比率なので、これを下回るとマイナスのキャッシュフロー、これを上回ればプラスのキャッシュフローとなります。

前提条件

物件価格              1億円

借入額             9,000万円

(金利2%、借入期間30年)

 

総潜在収入(GPI)              800万円

空室損失                    50万円

実行総収入(EGI)              750万円

運営費(Opex)                150万円

営業純利益(NOI)              600万円

年間負債支払額(ADS)      399万円

税引前キャッシュフロー(BTCF) 201万円

計算

損益分岐点(BE)=(運営費(Opex)150万円+年間負債支払額(ADS)399万円)

÷総潜在収入(GPI)800万円=68.63%

解説

この損益分岐点(BE)68.63%が表しているのは、総潜在収入(GPI)800万円を100%として、運営費(Opex)150万円と年間負債支払額(ADS)399万円を足した549万円が、総潜在収入(GPI)800万円100%のうち68.63%を占めているということです。ということは、

 

100%-68.63%=31.37%

 

は、空室になってもキャッシュフローがマイナスにならないということです。額で言うと、

 

総潜在収入(GPI)800万円×31.37%=251万円

 

です。

総潜在収入(GPI)800万円は年額なので月額にすると、

 

総潜在収入(GPI)800万円÷12ヶ月=約67万円

 

月額約67万円ということは、1戸83,750円の部屋が8部屋というイメージです。仮に、8戸中4戸が空いたとしても、

 

83,750円×4=335,000円/月

251万円÷335,000円=7.49

 

7.49ヶ月は、8戸中4戸が空室になっても大丈夫という事がわかります。

まとめ

この指標は、税引前キャッシュフローで考えているので、実際は税金も考慮しなければいけないので、もっと短い期間となりますが、税引前の考慮すべき指標の一つです。

基本的には、総潜在収入(GPI)は年々下がるので、一度出したものがずっと使えるという比率ではなく、正確に考えるには計算をしたい年度ごとに計算する必要があります。

LTV(Loan To Value Ratio)

物件価格に対して占める借入額の割合です。

式は、下記のようになります。

 

借入額 ÷ 物件価格 = LTV

 

低ければ低いほど、マイナスのキャッシュフローになる可能性は低くなります。

一方、低いということは、物件購入時に現金と使っているということなので、資産全体の安全率は下がります。

また、不動産投資が他の投資と比較して、利点のあるレバレッジ(てこの原理)が利用出来ません。

一つの不動産だけで考えるのではなく、資産全体で見ること、他の資産個別の状況を考えることが必要です。

負債支払安全率(DCR:Debt Cover Ratio)

LTVは、物件の額に対してどのくらい借入の額があるかという指標でしたが、キャッシュフローの中の営業純利益(NOI)に対して、年間負債支払額(ADS)があるかという指標が負債支払安全率(DCR:Debt Cover Ratio)です。

営業純利益(NOI)を100%とした時に、どのくらい年間負債支払額(ADS)が占めているかを表す指標です。

融資の審査の際に、金融機関も見ている指標なので、しっかりと押さえる必要があります。

式は、下記のようになります。

 

営業純利益(NOI)÷ 年間負債支払額(ADS) = 負債支払安全率(DCR)

 

どれだけ負債を支払う能力が営業純利益(NOI)にあるかという指標になります。

1.3以上が安全という言われたり、1.2以上が安全と言われたり、伝える人によって差がありますが、当初1.3以上無いと後述するデッドクロス以降は、税引後キャッシュフロー(ATCF)がマイナスになるケースも多いので注意が必要です。

損益分岐点(BE)の例を基にした例

この負債支払安全率(DCR)を損益分岐点(BE:Break-Even Point)で使った例で計算すると次のようになります。

 

営業純利益(NOI)600万円 ÷ 年間負債支払額(ADS)399万円 = 1.50

 

年間負債支払額(ADS)399万円の約1.5倍営業純利益(NOI)があるという事を表しています。

まとめ

この負債支払安全率(DCR)は、不動産単体ではもちろんのこと、所有している不動産全体で考え、キャッシュフローが多いけど売却益の少ない物件とキャッシュフローが少ないけど売却益が多い物件を組み合わせるなどの戦略などにも使えます。

 

ここまででお伝えした損益分岐点(BE)、LTV、負債支払安全率(DCR)は、いずれも単年度の分析に使用するものですが、一回不動産を購入すると単年度の繰り返しが最終的な結果となり現れます。

リターンに対する投資効率の攻めの要素だけではなく、損益分岐点(BE)と負債支払安全率(DCR)のような健全性という守りの要素を確認する事でキャッシュアウトフローを防いだり、次の一手を考える材料となります。

 


 

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