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物件の調査

不動産投資、賃貸経営で想定されるリスクを未然に防ぎ、リターンを最大化するためには、まずしっかりと調査を行うことが重要です。

その為、リスクや収支の予測の精度を上げることで、不動産投資の失敗を防ぎ、成功に導くのであれば、いかに精度を上げるかということがポイントです。

REITなどの取り扱い金額の大きいプレイヤーほど、この調査であるデューデリジェンスをしっかりと行います。

取り扱い金額がREITなどに比べると小さいから、調べなくて良いという事ではなく、出来る限りの調査を行い、リスクをコントロールしていくことが重要です。

検討物件の調査には、

・不動産の状況調査
・環境調査
・法的調査
・経済的調査

が、あります。

不動産の状況調査

不動産の状況調査では、土地と建物の状況を調査します。

主に役所などで取得出来るものですが、現地を確認したり、確認する為には費用がかかるものもあります。

下記はその一覧です。

土地の状況調査

①所在地、地積等

②境界

③埋蔵物等

④地質地盤

建物の状況調査

①建築・設備・仕様

②遵法性

③修繕・更新費用

④耐震性・PML

⑤管理状況

⑥再調達価格

土地の状況調査

①所在地、地積、地目等

対象地を登記簿謄本、公図と照らし合わせて対象地を確認します。

地積測量図があれば地積測量図と住宅地図、地積測量図と現地などを照らし合わせます。

過去に測量した面積と大きく差異があることもあります。

登記簿の面積より、実際の面積が大きい分には良いですが、実際の面積が小さい場合には、購入後建築したり、再建築の際に同じ大きさの建物が建てられないという事もありますので注意が必要です。

②境界

地積測量図と現地を照らし合わせて確認を行います。

最終的には測量図により、越境しているか否かの正確な判断が必要ですが、調査段階ではない事も多いので目視で確認をし、気になる点は確認します。

越境されている場合には、将来再建築の際に撤去してもらう覚書等があるか否かなども確認が必要です。

自分の目線の高さは確認したものの、目線より上の上空の樹木、電線等が越境していることを見逃しがちなので注意が必要です。

③埋蔵物等

埋蔵物等の確認では、埋蔵文化財包蔵地に指定されているかの確認と地中埋設物や埋設管の確認を行います。

埋蔵文化財包蔵地に指定されている場合は、試掘、発掘の要否、それに要する期間と費用を確認します。

土地から購入して建物を建てる際に、土地が更地の場合は、従前にあった建物の基礎や杭、ガラがある場合もあります。

また、隣地の給水や排水などの管が敷地内を通っていることもあるので、出来る限り目視で確認し、確認出来ないものは契約書上の瑕疵担保責任の期間内に工事を着手、確認するなど、予防と発見された場合の措置を事前に計画します。

④地質、地盤

地質、地盤の調査では、建築の際に地盤改良の費用がいくらかかるかが大きく左右されます。

場合によっては売主と交渉し、事前に地盤調査が出来る場合は、費用を払ってでも地盤調査をした方が良い場合もあります。

建物の状況調査

①建築・設備・仕様 ②遵法性

建物の設計図書や建築概要書、台帳記載証明書を確認し、検査済証は取得しているか、設計図書通りに建築されているか確認します。

設備や仕様の確認は、メンテナンスの観点と手を加えたり交換する等で家賃収入を上げ、価値を上げることが出来るかという両面で確認をします。

建築当時は適法に建築された建物でも、現行法では違反建築という既存不適格という状態は通常使用する分には問題ありませんが、増築、改築、大規模修繕、用途変更等の場合に現行法の適用を受けることがあります。

また、消防・衛生上の問題は現行法の改善が求められることもあります。

③修繕・更新費用

修繕、更新では、緊急要する修繕更新、短期的な修繕更新、長期的な修繕更新の観点で費用を確認する。

緊急を要するものは、建築基準法や消防法の違反で非常時に人命、安全にかかわるもの、法定点検の未実施や届出、手続き不備や入居者、訪問者、通行人に潜在的に危険なものなど、直ちに修繕あるいは更新が必要なものです。

短期的な修繕更新は著しく劣化しているもの、機能しているが推定耐用年数を大幅に超えているもの、その他1年以内に修繕や更新をした方が良いと判断されるものなど、概ね1年以内に修繕や更新が必要なものです。

長期的な修繕更新は、通常長期修繕計画と言われるもので、管理の状態や修繕履歴などを参考に計画を行います。

屋根・外壁などの外部仕上、床・壁・天井などの内部仕上、外構、電気設備、空調設備、給排水・ガスなどの衛生設備、エレベーターや機械式駐車場などの搬送機設備などを10~20年のサイクルを目安にかかる費用を算出していきます。

代表的な部位の修繕収益の目安は、次のようになります。

建物本体

室内設備

配管

④耐震性

地震による建物被害は収益性を著しく低下させる可能性があります。

来るか来ないかは分からないので地震保険を付保する、地震による被害があった時の損害額をプールしておくという事でリスクに対して対策を行う事は出来ます。

REITやファンドなどの高額な物件を取り扱うプレイヤーは、PML(Prbable Maximum Loss:予想最大損失)という指標を使い、大地震が発生した際に、建物を再建築した際の再調達価格を基に損害額に対して、どのような対策を立てるかという方法を用いています。

物件を購入することを決めてから、火災保険、地震保険の金額を見て、高いから入らないという方もいますが、最初から予算に入れて投資判断を行い加入する事で、起きてほしくない万が一の事が起きた時でも対応出来る態勢を作ることが出来ます。

⑤管理状況

管理状況が悪いと本来物件が貸すことの出来る賃料より下げて貸していたり、入居しているテナントが出て行くまでの期間が早くなったり、定期的にメンテナンスを行う事で安価な点検や修繕、更新の費用で済んだものが、高額な交換になったりと営業純利益(NOI)を下げているケースがあります。

その為、物件を検討する入口のタイミングで管理状態の悪い物件があると、改善することで営業純利益(NOI)が上がる可能性があるので、チャンスとなります。

そのチャンスに気付く為には、適正な管理運営を知っておく必要があります。

環境調査

環境調査に関しては、主に土地は土壌汚染、建物はアスベスト等の有害物質です。

REITやファンド、海外投資家など、物件価格の高い不動産を取り扱うプレイヤーは特に確認をします。

そのようなプレイヤーはER(エンジニアリングレポート)の中の項目として確認をしています。

土壌汚染やアスベストに気付かず、投資計画の中に予算として組み込んでいない場合は価格が下がり、投資効率を下げるばかりか、マイナスになることもあるので注意が必要です。

土壌汚染などは、

①土壌汚染地の公開情報、土地利用の歴史(登記簿、地形図、住宅地図、航空写真等)、行政が行った土壌や地下水に関する実態調査、測定データなどを確認

②現地で土壌の色や臭気の確認、隣接や周辺に土壌汚染の原因となりそうな工場やドライクリーニング、ガソリンスタンドなどの有無の確認

③現地状況を良く知っている人物にヒアリング

を行い、必要があれば実際に費用のかかる調査、対策の設計と実施という流れになります。

建物のアスベスト等の有害物質は、既存の資料(提供された資料、公開された資料)の確認や現地調査を行い、必要があれば費用の掛かる調査、対策の設計、実施という流れになります。

環境については、今後より一層求められる事項なので、今は大丈夫でも、法改正により将来は基準に満たないという事もありえます。

購入時に調査したら、終わりではなく、法改正にも気を配り賃貸経営を進めていきましょう。

法的調査

対象の不動産を運営、再建築、売却するにあたってどのような規制があるのか知っておかないと、運営上のトラブルに時間や費用を使ってしまったり、再建築をする際に、思っていた建物が建築出来なかったり、想定の売却価格で売却出来なかったりすることもあるかもしれません。

そうならない為にも、どのような状況で何の法律に該当しているかは確認しましょう。

下記は押さえるべき項目と留意点になります。

①権利関係

・所有権、抵当権等の登記簿による調査

・登記簿に載らない借地権の借地契約書の調査

②テナントとの賃貸借契約の内容

・賃借人の名称、貸室部分の位置、面積、使用方法等

・賃料、共益費、敷金、礼金等の一時金の額、償却の有無

・普通賃貸借か定期賃貸借かの別、契約期間、自動更新の有無

・フリーレント、レントホリデー、段階賃料の有無

・解約に係る合意内容

・賃料が固定される期間の有無と改訂に係る合意内容

・転貸の可否(サブリース等)

・現状回復に係る合意内容

・修繕に係る費用負担区分(所有者負担かテナント負担の別)

・商業施設等の場合は、固定賃料、歩合賃料等の別とその内容

・商業施設の場合は、建設協力金の有無

③専有関係

・対象不動産に賃貸借契約書で確認できない占有者がいないか

④公法関係調査

役所調査を行い、法令上の諸規制に反していなか確認をする。法令上の規制としては、都市計画法、建築基準法のほか、各自治体の設定する条例や指導要綱等があります。

・都市計画法

地区計画、用途地域、特別用途地区、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区、開発許可制度、等

・建築基準法

建ぺい率、容積率(容積率低減係数による制限、特定道路までの距離条件による緩和、容積率不算入)、斜線制限、日影規制、既存不適格と違法建築物、建物の耐震基準、等

・関連法規等

国土利用計画法、公有地の拡大の推進に関する法律、農地法、土地区画整理法、文化財保護法、宅地造成等規制法、景観法、河川法、海岸法、航空法、等

・各自治体の条例、指導要綱

駐車場附置義務、ワンルーム条例、店舗・住宅の附置義務、開発負担金・緑化義務、東京都建築安全条例、高齢者・障害者等の移動等の円滑化に関する法律(バリアフリー)、等

 

経済的調査

経済的調査では、現在賃貸中のテナントの状況、市場の状況、収益の状況、価格の状況を確認していきます。

今までの不動産の状況調査、環境調査、法的調査を踏まえ、物件を購入するかどうかの判断をする為の経済的調査です。

ですが、実務的には、大雑把に経済的調査な調査を行い、この物件だといくらまでなら購入して良いという数字を出してその金額が交渉の土台に乗りそうな場合に、不動産の状況調査、環境調査、法的調査などを必要に応じて行います。

不動産投資、賃貸経営という事業を拡大していきたいと思っている方は、この経済的調査でより多くのチャンスを見出すことが出来れば事業拡大のスピードが上がります。

要は、経済的調査を行う物件の数と質が重要です。

経済的調査では以下の調査を行います。

① テナント調査

② 市場調査

③ 収益調査

④ 価格等調査

① テナント調査

現在賃貸借契約を締結しているテナントの調査です。法的調査のテナントとの賃貸借契約の内容でもお伝えした内容になります。

このテナントの内容をレントロールという表にまとめていきます。

上表がレントロールです。

テナントの名称や面積、賃料、共益費、敷金、更新料、などです。

更新料の次に、原契約開始日と現契約開始日という項目があります。

2つの『げん』契約がありますが、原契約は一番初めに契約した日付、現契約は更新をした最新の賃貸借契約の期間です。

この原契約があることで、テナントがどのくらいの期間で退去するという平均と照らし合わせて、空室の予測をすることが出来ます。

また、原契約の期間が浅い場合には、売却する為に無理に行っている契約の可能性や入居している方にとって退去したくなる何か理由があって更新をしてもらえてないのかもしれません。

原契約を見ないことには気付かなかったかもしれないデメリットやリスクに気付くかもしれませんし、逆にそのデメリットを解消する事でチャンスに繋がるかもしれません。

また、購入時だけでなく運営期間中も原契約と現契約の記録をとっていれば、入居期間を長くするための運営努力の結果が一目で確認出来るようになります。

次にスタッキング(鳥かご図)と言われるものが下表になります。

レントロールは、文字情報なので直感的に何階のどの大きさのどの部屋がいくら貸せているということを捉えることができません。

このスタッキング(鳥かご図)では、建物を断面で切り取り、各部屋、各階の情報を記載していきます。

各階ごとの賃料の坪単価だったり、階ごとに間取りのタイプが違えば間取りのタイプごとの賃料の坪単価を確認する事が出来たり、角部屋だといくら賃料を上げることが出来るかなどの確認を文字だけではなく、形を見ながら確認出来るので情報の把握に優れています。

レントロールとスタッキングは、最初に作るのは手間ですが、一度作ってしまえば情報を更新するだけなので、購入後も更新していくことで、営業純利益(NOI)を改善していくための資料として、とても役立ちます。

② 市場調査

市場調査の原則は、マクロ的な分析からミクロ的な分析を行います。

例えば、日本の景気動向→不動産市場→地域要因(同一需給圏内)→地域要因(近隣)という順番です。

先の例の日本の景気動向や不動産市場は一般要因、同一需給圏内や近隣などは地域要因といいます。

日本の景気動向や不動産市場は話が大きすぎるのではと思う方もいると思いますが、物件ごとに毎回調べるというよりは常に把握しておく必要があります。

物件価格を左右する還元利回り(Cap Rate)が低い状況なのか、高い状況なのか、先行きの見通しはどうなのかという事次第で、コアを狙うのか、バリューアッドを狙うのか、オポチュニスティックを狙うのかも変わるかもしれません。

不動産投資、賃貸経営に係るのであれば当然ですし、投資家として、経営者として、一般要因は常に情報を得る努力が必要です。

地域要因の同一需給圏内では、該当する駅と近隣のライバルとなる駅の家賃相場、物件が出ている数、敷金や礼金がとれているか、など、幾らで貸せるのか(総潜在収入(GPI)を知るため)、空室損失をどのくらいで見込むのか、募集に広告料などを払う必要があるのか(運営費(Opex)に考慮する必要があるか知るため)など、より正確なキャッシュフローを作成するにはどうすれば良いのかという観点で情報を収集します。

ポータルサイトの情報はあくまで募集賃料であって成約賃料では無いので、成約賃料に関しては物件を紹介してくれた業者に依頼してレインズのデータをもらったり、近隣の賃貸の客付けをメインとしている業者にヒアリングするなどして成約の賃料の情報も得ましょう。

ある一定の期間の募集に出た物件の数と成約した数が把握出来ると、募集しやすいエリアかどうかという判断がしやすいですが、そのようなデータは無いので、LIFULL HOME’Sが提供している『見える!賃貸経営』などを利用して、物件の掲載数、検索回数の比率から需要を予測するという事も一つの手段です。

■ 『見える!賃貸経営』LIFULL HOME’S提供 ■

https://toushi.homes.co.jp/owner/

該当の駅やライバルとなる駅の状況を確認したら、賃借人となる候補者が検討している物件の見学で一緒に見るであろう近隣のライバルとの比較を行います。

賃料、立地、日当たり、築年数、建物のコンディション、外構、共用部、設備、仕様、エレベーターの有無、駐車場・駐輪場の有無などを比較し、一覧にして比較をすることで、競合物件との差別化のポイントが見えたり、改善するポイント、家賃の設定などを確認する事ができます。

該当する駅やライバルとなる駅の箇所でもお伝えしましたが、あくまでより正確なキャッシュフローを作成することが第一の目的です。それに加え、改善をすることでの営業純利益(NOI)の上昇の可能性や築年数が浅い時に貸して、年数が経ち退去後再募集を行った時に家賃が下落するなどの営業純利益(NOI)の下落する可能性を確認します。

③ 収益調査

収益調査では、物件が稼ぎ出す最大値の総潜在収入(GPI)を算出し、空室損失、運営費(Opex)、資本的支出(Capex)を見積もり、営業純利益(NOI)、純収益(NCF)を出していきます。

過去の賃貸履歴やエリアの情報などを考慮して、家賃がどのように推移するのかを見積もり、複数年度のキャッシュフロー表を作成していきます。

キャッシュフロー表は下表のようなものです。

総潜在収入(GPI)は賃料、共益費だけでなく、駐車料や自動販売機やアンテナ設置による収入があればその収入、水道光熱費を徴収するタイプであればその金額もいれます。

運営費(Opex)も、維持管理費、水道光熱費、修繕費、管理料(プロパティマネジメントフィー)、テナント募集費用(広告料等)、損害保険料、その他費用などに項目を分けておけば入力もしやすいですし、どの項目の比率が高く改善の余地があるなどを考えやすくなります。

あとは資本的支出(Capex)まで見積れば純収益(NCF)まで作成することが出来ます。

物件の収益調査としてはここまでを行います。

④ 価格等調査

価格調査では、現在の還元利回り(Cap Rate)がどうなのか、物件価格は価値に対して妥当なのかという現在を考えることと、将来変化する営業純利益(NOI)に対して、将来の還元利回り(Cap Rate)はどのように変化するのかという事を検討します。

将来の還元利回り(Cap Rate)を予測するという事は経済を予測するという事でもあるので、100%当てるという事ではなく、エリアの傾向などを確認し、好況の場合、平常の場合、不況の場合などを当てはめられる下地を考えるということです。

また、後述しますが出口も収益として売却だけでなく実需として販売する可能性もあるかもしれません。入口と出口の価格をここでは調査をしていきます。

 


 

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