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修繕計画、設備の経年変化と求められる水準の関係、修繕にかけた費用の投資効率

修繕計画は、不動産投資、賃貸経営を行う上でとても大事なポイントです。

キャッシュフロー表を作成する際にも、営業純利益(NOI)の次が、年間負債支払額(ADS)になっていて、資本的支出(Capex)が含まれていないキャッシュフロー表も散見しますが、その多くが大規模修繕を加味していないキャッシュフロー表です。

大規模修繕が修繕費に計上出来ることを税理士に確認したり、分かっている状況で、資本的支出(Capex)を考慮していないケースは稀ですから、人が作ったキャッシュフロー表を確認する時には、必ず大規模修繕の計画を確認し、自分で作る場合には、必ず考慮してください。

修繕の目安

修繕の内容と目安については、以下のようになります。

建物本体

室内設備

配管

保有期間の3つの業務と共に、長期的な修繕の計画を立てることで、場当たり的に大きな金額が必要になるようなことはなくなります。

建物性能の経年の変化と求められる水準

建物の修繕は、定期的に行わないと性能の劣化だけではなく、設備、仕様などの陳腐化も進んでいきます。

下図は、竣工時からからの建物の性能と求められる一般的な水準を概念的に表した図です。

修繕工事

劣化した建築系部材(内外装仕上材、シーリング材等)や設備機器などを竣工時と同等レベルまで回復する工事です。

更新工事

故障してしまった、もしくは故障懸念のある部品や機器を同等品に取り換える工事です。

改修工事

著しく性能が劣化し、現在の価値基準に応えられない場合や安全性の確保が難しくなった場合に行うリノベーション工事や耐震改修工事、省エネ設備工事などです。

 

竣工時には、求められる水準より高い地点からスタートしますが、年々性能は劣化していきます。修繕で回復をさせても竣工時の水準には戻りません。

建物の性能は劣化していきますが、求められる水準は年々上がるので差は大きく広がっていきます。

修繕では対応が出来なくなったものに、更新工事を行い取り換えたとしても竣工時の性能には届きません。

その間に求められる水準はより高くなっていきます。次に改修工事ですが改修工事は竣工時の性能に戻すだけではなく、求められる水準まで工事を行います。

当然費用は改修工事が高いですが、適切なタイミングで改修工事を行わないと、求められる水準と劣化、陳腐化した設備の開きが大きくなり、総潜在収入(GPI)が下がったり、競合物件との競争に勝てなくなり空室損失が大きくなります。

費用をかけない事で、得られる収入が減り、得られたであろう資産が減るという構図です。

その為、適切なタイミングに、出来るだけ費用は押さえて求められる水準に持っていくことが大切です。

修繕にかけた費用に対する簡便的な投資分析

上記のように修繕に費用をかけないと、得られたであろう賃料を失うことになりますが、かけた費用に対してどのくらいの投資効率があるのかも確認したいところです。

その際に簡便的に投資効率を分析する方法として、次のような分析を行います。

例えば、性能が劣化、陳腐化して総潜在収入(GPI)が下がり、空室損失も上がっている状況で次の状況だとします。

■改修前

家賃 6万円/1戸

総戸数10戸

空室損失 総潜在収入(GPI)に対して7%

運営費 総潜在収入(GPI)に対して15%

 

総潜在収入(GPI) 7,200,000円

空室損失 504,000円

実行総収入(EGI)6,696,000円

運営費(Opex) 1,080,000円

営業純利益(NOI) 5,616,000円

 

この状況でリノベーションをする改修工事を行えば家賃1万円高く貸せ、空室損失も5%に改善出来そうなプランがあったとします。この改修工事にいくら使えるかという計算です。

■改修後

家賃 7万円/1戸

総戸数10戸

空室損失 総潜在収入(GPI)に対して5%

運営費 総潜在収入(GPI)に対して15%

 

総潜在収入(GPI) 8,400,000円

空室損失 420,000円

実行総収入(EGI)7,980,000円

運営費(Opex) 1,260,000円

営業純利益(NOI) 6,720,000円

 

この場合、改修前と改修後の営業純利益(NOI)の差は下記になります。

改修後営の業純利益(NOI)6,720,000 - 改修前の営業純利益(NOI)5,616,000

=1,104,000円

 

還元利回り(Cap Rate)6%だったとします。

その場合、改修前と改修後の営業純利益(NOI)の差の1,104,000円を6%で割ってあげれば、物件の上がる価値が分かります。

 

1,104,000 ÷ 6% = 18.4000,000円

 

1,840万円が上がる価値です。

実際に運用する際には、何室か空室がある状態でリノベーションを行い、現在入居中の部屋は退去したタイミングで家賃を上げることになると思うので、いきなり上げることは出来ません。

ですが仮にこれが10部屋中3部屋空いていて3部屋はすぐに家賃が上げられたとしましょう。その場合、

 

10,000円 × 3部屋 × 12か月 = 360,000円

360,000 ÷ 6% = 6,000,000円

 

600万円の価値が上がることになります。

その為、この改修工事に600万円までだったら払っても、その価値の上昇分で吸収出来ることになります。

実際に行う際には、キャッシュフロー表の数字を直し、内部収益率(IRR)を計算した方が正しい数字が見えますが、単年度の営業純利益(NOI)、不動産の価値を上げていくというPM(プロパティマネジメント)業務ではこのような分析方法が有効です。

 


 

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