損益計算書(P/L)とキャッシュフローの関係
同じ一期間の収益と費用を見る指標なのに、目的が違う為に内容の違う損益計算書(P/L)とキャッシュフローは、その違いをしっかり理解する必要があります。
まずは、損益計算書(P/L)とキャッシュフローの各項目の対応関係から見ていきます。
上から見て行くと、キャッシュフローでは総潜在収入(GPI)、賃料差異、空室損失、という項目がありますが、実際にお金が出入りしている項目ではないので損益計算書(P/L)では登場しません。
キャッシュフロー上の実行総収入(EGI)は、実際にお金の流れがある項目なので対応関係を確認します。
不動産の賃貸経営は商品を仕入れて販売したり、工場で組み立てて販売している訳ではありませんので売上=売上総利益になります。
この2つがキャッシュフロー上の実効総収入(EGI)にあたります。
次に販売費及び管理費が、キャッシュフロー上の運営費(Opex)に当たります。
その後の項目は税引前当期純利益が税引前キャッシュフロー(BTCF)、法人税等が税(Tax)、当期純利益が税引後キャッシュフローです。
このように見てみると損益計算書(P/L)とキャッシュフローは似ている点も多くあるのが分かります。
しかし、損益計算書(P/L)とキャッシュフローでは構成している項目で大きく違う点があります。確認していきましょう。
■損益計算書(P/L)にはあるがキャッシュフローにはないもの
・減価償却
■キャッシュフローにあるが損益計算書(P/L)にはないもの
・借入金の元金返済
減価償却とは、不動産の場合、土地と建物に分け、経年劣化による価値が減る建物部分を税法で決められた年数で経費として計上していくものです。
上図が減価償却のイメージです。
不動産を保有している際に減価償却を計上すると経費になり税金が減りますが、減価償却で減った分の帳簿価格が減り、売却時は売却価格と建物帳簿価格の差に譲渡所得税が課税されます。
借入金の元金返済とは、借入金の返済額の中に含まれる、利息の返済部分と元金のうちの元金部分のことです。
この減価償却と元金返済が損益計算書(P/L)とキャッシュフローの額に乖離を作る大きな要因です。