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個人の所得税

不動産投資、賃貸経営を個人で行ってる人も多いので、法人の『損益計算書(P/L)』と共に個人の所得税の仕組みも知っておく必要があります。

下図が、個人の所得税の流れです。

個人の所得税は、

①各種所得の金額の計算

②課税標準の計算

③課税所得金額の計算

④納付税額の計算

の4つの段階を経て計算されます。

①各種所得の金額の計算

各種所得の金額の計算の段階で、分類が、大きく分けて2つの課税の方法になります。

総合課税と分離課税です。

不動産投資、賃貸経営では、収益が、

・ 保有期間中の家賃収入などによる損益

・ 出口の売却損益

が、あります。

家賃収入などによる損益は、総合所得の不動産所得です。

総合所得である不動産所得は、他の総合所得の所得と損益を通算して課税されます。

出口の売却損益は、分離課税の譲渡所得の為、他の所得との通算は出来ません。

不動産所得(総合課税)

不動産所得は、不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。

1. 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

2. 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

青色申告の制度といって、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度があります。

青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

上記の5棟、10室基準を満たし、事業として扱う場合には最高65万円、事業として扱えない場合には10万円を控除します。

なお、令和2年分以後の所得税の申告については、取引を正規の簿記の原則により記帳している方が適用を受けることができる青色申告特別控除の控除額が、65万円から55万円に引き下げられます。

ただし、正規の簿記の原則により記帳している方で、次のいずれかに該当する方については65万円の青色申告特別控除額の適用を受けることができます。

1. その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。

2. その年分の所得税の確定申告書及び青色申告決算書の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

譲渡所得(分離課税)

譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。

売却の損益は、分離課税の譲渡所得にあたり、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

譲渡所得の金額は、次のように計算します。

収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額

取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。

長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の場合です。

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。

譲渡費用の主なものは次のとおりです。

1. 土地や建物を売るために支払った仲介手数料

2. 印紙税で売主が負担したもの

3. 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料

4. 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額

5. 既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金

これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。

6. 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

このように、譲渡費用とは売るために直接かかった費用をいいます。
したがって、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。

土地や建物の譲渡による所得は、他の所得、例えば給与所得などと合計せず、分離して計算する分離課税制度が採用されており、譲渡所得の税額は次のように計算します。

長期譲渡所得

課税長期譲渡所得金額 ×( 所得税15% + 住民税5% )

短期譲渡所得

課税短期譲渡所得金額 ×( 所得税30% + 住民税9% )

(注) 平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

②課税標準の計算

課税標準の計算の段階で、総合課税の一定の赤字の所得は黒字の所得と相殺されます。

このことを損益通算と言います。

総所得金額から所得控除額を引きます。

所得控除には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除(この控除は女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があります。

なお、日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者の場合の所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の三つです。

代表的な所得控除を下記になります。

基礎控除

基礎控除は、ほかの所得控除のように一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に適用されます。

基礎控除の金額は38万円です。

※  令和2年分以降の基礎控除については、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。

配偶者控除

配偶者控除は、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除です。

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。

なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。

2. 納税者と生計を一にしていること。

3. 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、及び控除対象配偶者の年齢により次の表のとおりになります。

※ 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。

社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について受けられる所得控除です。

控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。

令和元年度の国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は、16,410円です。

厚生年金は、標準報酬月額により異なります。

健康保険料の額は、都道府県、標準報酬月額により、異なります。

【参考】令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険、厚生年金保険の保険料額表

全都道府県の『令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険、厚生年金保険の保険料額表』については、下記より取得して頂けます。

友達登録で取得できる資料

LINE友達登録をして頂き、下記のキーワードをトーク欄に、入力して頂くと無料で、『令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険、厚生年金保険の保険料額表』を取得することができます。

上記動画より取得方法をご確認頂けます。

(キーワード:保険料)

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済掛金控除は、納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について受けられる所得控除です。

生命保険料控除

生命保険料控除は、納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額受けることができる所得控除です。

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なります。

なお、保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもありますのでご注意ください。

新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

旧契約に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。

地震保険料控除の概要

地震保険料控除は、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金を支払った場合には、一定の金額受けることができるの所得控除です。

旧長期損害保険に係る経過措置

平成18年の税制改正で、平成19年分から損害保険料控除が廃止されました。

しかし、経過措置として以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができます。

1. 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)

2. 満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約

3. 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの

地震保険料控除の金額

その年に支払った保険料の金額に応じて、次により計算した金額が控除額となります。

③課税所得金額の計算

課税所得金額の計算の段階で税率をかけます。税率に関しては、下表をご覧ください。

税率をかけて出た税金の合計が算出税額というもので、算出税額から税額控除額を引いたものが納付する所得税の額となります。

④納付税額の計算

算出税額から税額控除を引き、納付税額を算出します。

税額控除

税額控除とは、課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するものです。

税額控除の主なものには、

1. 配当控除

総合課税の配当所得がある場合に、原則として、配当所得の金額の10%又は5%に相当する金額を控除するものです。
なお、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得については、配当控除は適用できません。

2. 外国税額控除

日本で課税される所得の中に、外国で生じた所得があり、その所得に対して、その外国の法令により所得税に相当する税金が課税されている場合、一定額を控除するものです。

3. 政党等寄附金特別控除

政党又は政治資金団体に対して政治活動に関する一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除するものです。

4. 認定NPO法人等寄附金特別控除

認定NPO法人等に対して一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除するものです。

5. 公益社団法人等寄附金特別控除

一定の寄附金のうち、次のイからトまでに掲げる法人に対するものについては、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除するものです。

イ 公益社団法人及び公益財団法人

ロ 学校法人等

ハ 社会福祉法人

ニ 更生保護法人

ホ 国立大学法人

ヘ 公立大学法人

ト 独立行政法人国立高等専門学校機構及び独立行政法人日本学生支援機構

(注)上記ホ~トに対する寄附金については、学生等に対する修学の支援のための事業に充てられることが確実である一定のものに限られます。

6. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除

① 住宅の新築、取得又は増改築等をした場合

一定の要件を満たす住宅の新築、取得又は増改築等(以下、「取得等」といいます。)をした場合に、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額を基として計算した金額を一定期間控除するものです。

なお、給与所得者は、1年目に確定申告をすると、2年目以降は年末調整でこの控除を受けることができます。

② 特定の増改築等をした場合の特例

一定の要件を満たす次のイ~ニのいずれかの改修工事を含む増改築等(以下、「特定の増改築等」といいます。)を行った場合に、特定の増改築等に係る借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額を5年間控除するものです。

この控除は、上記①との選択適用となります。

イ バリアフリー改修工事

ロ 省エネ改修工事

ハ 多世帯同居改修工事

ニ 耐久性向上改修工事(上記ロの改修工事に併せて行うものに限ります。)

なお、給与所得者は、1年目に確定申告をすると、2年目以降は年末調整でこの控除を受けることができます。

7. 住宅耐震改修特別控除

自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋で一定のものに限ります。※自己の所有であるかどうかは問いません。)について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額を控除するものです。

8. 住宅特定改修特別税額控除

一定の要件を満たす次のイ~ニまでのいずれかの改修工事又はこれらの改修工事を併せて行った場合に、一定の金額を控除するものです。この控除は、上記6. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除との選択適用となります。

イ バリアフリー改修工事

ロ 省エネ改修工事

ハ 多世帯同居改修工事

ニ 耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や上記ロの改修工事を併せて行うものに限ります。)

9. 認定住宅新築等特別税額控除

次のイ又はロの住宅の取得等をした場合に、標準的なかかり増し費用を基として計算した金額を控除するものです。この控除は、上記6. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除との選択適用となります。

イ 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの(以下「認定長期優良住宅」といいます。)の新築又は建築後使用されたことのない認定長期優良住宅の取得

ロ 都市の低炭素化の普及の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋で一定のもの又は同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋で一定のもの(以下「認定低炭素住宅」といいます。)の新築又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得

10. 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除

青色申告者が、試験研究を行った場合の所得税額の特別控除には、①試験研究費の総額に係る特別税額控除制度、②特別試験研究費に係る税額控除制度及び③中小企業技術基盤強化税制があり、試験研究費の額などに一定の割合を乗じた金額を控除するものです。

11. 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除

青色申告者が、新品の高度省エネルギー増進設備等の取得等をし、これを一定の事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

12. 中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除

青色申告者である中小事業者が、新品の特定機械装置等の取得等をし、これを一定の事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

13. 地域経済牽(けん)引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の所得税の特別控除

地域経済牽引事業者であることの承認を得た青色事業者が、一定の地域内において承認地域経済牽引事業計画に従った特定地域経済牽引事業施設等の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る特定事業用機械等の取得等(平成29年7月31日以後における取得等に限ります。)し、これを事業の用に供した場合に、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

14. 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の所得税の特別控除

青色申告者が、「地方活力向上地域等特定業務施設整備計画」について認定都道府県知事から承認を受けて、その承認の日から2年以内に、計画に沿った一定の規模以上の建物及び建物附属設備並びに構築物を取得して事業の用に供した場合に、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

15. 地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除

青色申告者で、地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた地域再生法に定める認定事業者については、特定新規雇用者数等が2人以上であること、給与等支給額が比較給与等支給額以上であることなど一定の要件を満たす場合、認定日を含む3年間までは特例措置として税額控除が認められます。

16. 特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除

一定の青色申告者である中小企業者が、経営改善設備の取得等をし、これを一定の事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

17. 特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除

青色申告者である一定の中小事業者が、特定経営力向上設備等を取得等し、これを事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

18. 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の所得税額の特別控除

① 青色申告者が、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その給与等支給額が一定額以上増加したこと、国内設備投資額が償却費総額の90%以上であることなど一定の要件を満たす場合に、一定の金額を控除するものです。

② 中小事業者である青色申告者の場合について、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その給与等支給額が一定額以上増加した場合に、一定の金額を控除するものです。

19. 革新的情報産業活用設備を取得した場合の所得税額の特別控除

生産性向上特別措置法に規定する認定革新的データ産業活用事業者である青色事業者が、一定規模以上の革新的情報産業活用設備を取得等(平成30年6月6日以後における取得等に限ります。)して事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときに、一定の金額を控除するものです。

20. 所得税額から控除される特別控除の特例

その年において上記10. 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除から19. 革新的情報産業活用設備を取得した場合の所得税額の特別控除の規定のうち、2以上の規定の適用を受けようとする場合、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額がその年分の調整前事業所得税額の100分の90相当額を超える場合には、その超える部分の金額は、その年分の所得税額から控除せず、一定の事項を記載した明細書の添付を要件に、各特別控除制度の繰越税額控除限度超過額としてその翌年分以後に繰越控除することができるものです。

などがあります。

 


 

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