購入するか否かの判断
物件の調査をして、融資の条件が分かると、キャッシュフロー表の完成させることが出来ます。
キャッシュフロー表が完成させることが出来れば、下図の期中の損益が出来た状態です。
あとは、入口と出口を考慮し、投資効率を確認していきます。
投資効率確認の手順
① 期中の損益の作成
融資の条件が分かったら、年間負債支払額(ADS)をキャッシュフロー表に入れます。
年間負債支払額(ADS)が分かると、税引前キャッシュフロー(BTCF)を計算することが出来ます。
減価償却や支払い金利を算出して課税所得を計算して、所得税率に合った税率で課税所得を計算して、税額を出すと、税引後キャッシュフロー(ATCF)まで出すことができます。
単年度のキャッシュフローが分かると、それを経年の数字の変化を考慮しながら写していき、大規模修繕等の必要な項目を入力すれば、キャッシュフロー表が完成し、投資効率を計る3つの要素のうちの1つの期中の損益の完成です。
② 借入前の内部収益率(IRR)の算出
期中の損益のキャッシュフロー表が完成すると、入口である初期投資額と、出口である売却損益を入力すれば、投資効率の指標である内部収益率(IRR)を計算することが出来ます。
金融電卓でも出来ますし、エクセルでも簡単に出来ます。
まずは、物件が持つ稼ぐ力である営業純利益(NOI)をベースに借入前の内部収益率(IRR)を算出します。
この段階で、投資すべきかどうかは簡便的に判断が出来ます。
③ レバレッジの判定
借入前の内部収益率(IRR)と金利(実行金利)を比較して、レバレッジがプラスにかかるのか、マイナスにかかるのかを確認します。
④ 借り入れ後の内部収益率(IRR)の算出
プラスのレバレッジがかかることを確認して、期中の損益を税引前キャッシュフロー(BTCF)にして、内部収益率(IRR)を確認します。
➄ 税引き後の内部収益率(IRR)の算出
借入後のキャッシュフローを確認したら、期中の損益を税引後キャッシュフロー(ATCF)にして、内部収益率(IRR)を算出して、自分の目標とする効率があるのかどうかの最終確認を確認します。
まとめ
実務的には、不動産の状況調査を行う前に、情報が来た段階で簡便的に内部収益率(IRR)を計算して、数字が合いそうならその裏どりをしていくというようなイメージです。
良い物件の情報は決まってしまうのも早い可能性があるので、ざっくりとスピーディーに投資判断をするという事も重要です。
その際に、空室損失と運営費(Opex)をどのくらい見込むかという事がポイントかとおもいますが、あくまで目安ですが、簡便的に下記で見積もると大きく外さないでしょう。
空室損失
首都圏 だいたい5%くらい
運営費(Opex)
・ 木造アパート だいたい15~17%くらい
・ 一棟もので鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) だいたい17~19%くらい
・ 区分マンション 間取りのタイプやマンションによっても管理費、修繕積立金の額が大きく違うので、それに合わせて計算
このように、自分の目安を基に、ざっくりと数字を出し、数字が合いそうだったら、実際に現地に行ったり、調査を行います。
同じ物件でも、現役世代の資産形成期の方なのか、相続対策期の方なのか、インカムゲイン重視かキャピタルゲイン重視か、利益の多い法人か少ない法人化などによっても、見方が変わるります。
その為、他の人にとって良くない物件でも自分にとっては良い物件があるかもしれませんし、他の人にとって良い物件が良くない物件かもしれません。
保有期間に運営の改善を行ったり、リノベーションの実施、用途変更、出口を収益から実需にするなど、その物件を保有後の戦略によっても変わります。
また、アイデアの引き出しが多ければ多いほど、選択肢が広がります。株などは、保有する全員が同じように株価の上がり、下がりを第三者として見守りますが、不動産は所有するプレイヤーが当事者として結果が変わります。
投資的な要素だけでなく、経営的な要素がある投資が不動産の特徴でもあります。