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デッドクロス

『損益計算書(P/L)とキャッシュフローの関係』のページでも触れましたが、損益計算とキャッシュフローでは、含めるとものと、含めないものがありました。

損益計算には減価償却を含み、キャッシュフローには年間負債支払額(ADS)の元金が含まれているということです。

この減価償却と元金返済は、年々数字が変わります。

この減価償却と元金返済の関係を考えていない場合では、損益計算上は黒字なのに、キャッシュフローでは赤字という状況も散見します。

この減価償却と元金返済の関係もしっかりと捉え、不動産投資を有利に進めましょう。

減価償却

減価償却は、損益計算上、不動産を土地と建物部分に分け、土地は経年劣化で価値を失うものではないものに対して、建物は経年劣化により価値が目減りしていきます。

その経年劣化による価値の減少分を決められた年数で価値を目減りさせて、目減りさせた分は費用として計上しましょうというシステムです。

以下の流れで減価償却を計算します。

耐用年数

建物は、構造により耐用年数が違い、新築、耐用年数の途中のもの、耐用年数を過ぎたもので計算方法が違います。

■ 構造別耐用年数

■ 耐用年数の計算

・ 耐用年数が既に経過した建物

新築時の耐用年数 × 0.2 = 取得した建物の耐用年数(小数点以下切捨て)

 

・ 耐用年数が途中まで経過している建物

(新築時の耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 × 0.2 = 取得した建物の耐用年数(小数点以下切り捨て)

減価償却の計算方法

該当不動産の耐用年数が分かったら、償却率を確認し、減価償却費を計算して出します。

■ 償却率

友達登録で取得できる資料

LINE友達登録をして頂き、下記のキーワードをトーク欄に『償却率』と入力して頂くと無料で、『償却率が掲載されている償却率表』を取得することができます。

上記動画より取得方法をご確認頂けます。

(キーワード:償却率)

 

■ 減価償却費の計算方法

取得価格 × 償却率 = 減価償却費の金額

 

事例

例えば、1億円の総事業費の建物があるとします。この1億円を決まった年数で費用計上していきます。

まず、1億円の中でも、建物の部分と設備の部分に分けます。新築の場合、

建物7:設備3

で分けることが多いので、今回も建物7,000万円、設備3,000万円で考えましょう。

建物が鉄筋コンクリート造(RC造)だった場合、耐用年数は47年となります。

7,000万円を47年で減価償却していくという事になります。

次に設備部分ですが、設備部分は大きく考えると耐用年数は15年です。

この設備部分の15年の減価償却は、現在は定額方法という償却方法のみですが、以前は定率法という方法も選択が出来ました。

定額法は、3,000万円であれば3,000万円を15年で割って同じ額を減価償却していくというものです。

定率法は、当初の3,000万円という数字から減価償却をした累計額を引いたものに決まった率(償却率)を掛け、減価償却額と出すという方法です。

初めの何年かは定率法の方が減価償却費の額が大きくなるので、定率法を好んで選択する方が多かったのですが、現在は定額法のみの選択となっています。

元金返済

元金返済は、借入を元利均等返済という返済方法で返済すると、返済額は一定となり、返済額の内訳の利息支払部分と元金返済部分の内訳が変化していきます。

『利回りのレバレッジ』のページでも、使用した上図をご覧頂いても年間負債支払額(ADS)の支払の額は一定なのに対して、元金返済の額が年々増えているのがわかります。

借入をすると最初は利息の支払ばかりで借金が減らないというような言い回しを聞く機会がありますが、まさに最初は利息の支払いが多く元金の支払いが少ないという話です。

この言い方だと、利息の支払いが多いことが悪いことのように聞こえますが、毎年のキャッシュフローで考えると、そうでもありません。

同じ支払い額の中で利息が多いという事は、損益計算上の経費が多いから税金が少ないということです。

そして返済が進むにつれて利息の支払いが減るので、損益計算上の経費が減り税金が増えるのです。

税金は増えたり減ったりしますが、この間、年間負債支払額(ADS)は変わりません。

デッドクロス

実際に、お金を支払っていないのに経費に計上出来る減価償却が年々減っていくのと、実際にお金を払っているのに経費に計上出来ない元金が増えていく現象が同時に時間の経過と共に起こります。

その為、空室の損失や運営費(Opex)が全く同額だとしても税引後のキャッシュフローは変化していくのです。

定率法

定額法

このグラフは、設備が定率法の場合と定額法の場合の減価償却と元金返済をグラフにしたものです。

減価償却は多い方、元金支払は少ない方が所得税の計算上有利です。

当初は、定率法、定額法どちらの場合で見ても有利な状況にあるのがわかります。

しかし、年々数字が変わり、減価償却と元金返済が逆転していきます。

逆転する前の状況では、減価償却と元金返済の差が所得税の計算上有利で、逆転した後は不利になります。

減価償却と元金返済の線が交わり、有利、不利の境が決まる点をデッドクロスと言います。

良く不動産は減価償却が出来るから節税になるという方がいますが、その場合このデッドクロスの前の状況を節税と言います。

ただし、節税と言われる減価償却で費用計上をした分は売却の際は、帳簿上の建物価格が下がり、帳簿上の土地と建物の価格と売却額の差が、譲渡益となり譲渡税がかかります。

その為、減価償却は節税ではなく、売却損益を含めたキャッシュフローの早い段階で税金を少なくする効果がある課税の繰り延べということです。

この減価償却と元金返済の関係を考慮していないと、収入を増やすつもりの不動産投資が、手出しをしなければいけない状況にもなりかねないので注意しましょう。

設備部分の15年の耐用年数の前の12~14年位でデッドクロスは起こることが多いので、デッドクロスまでのキャッシュフローの蓄積がどのくらいで、そのキャッシュフローを再投資なのか、繰り上げ返済なのか、大規模修繕の費用なのか、計画的に使う、貯めることがポイントになっていきます。

 


 

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